「人を思う心」の育て方 線引きの難しい医療接遇について

線引きの難しい医療接遇について

相手を思いやり声掛けをすることや、接遇マナーを意識して接することは、看護師として患者に接する上で重要なことです。聴力や認知力に問題がなく、理解できる患者には医療接遇が有効的でしょう。

しかしながら、病院には難聴の患者もいます。また、認知症で理解力が低下した患者もいるでしょう。根気よく説明しながら関わりますが、その時には接遇マナーを意識した関わりよりも、相手によっては、方言を使用したり、端的な言葉かけで一言で伝えたりしたほうがより伝わることがあります。

難聴の方は口の動き方で相手の言っている内容を理解しますが、長い文章になると読み取りが困難です。そのため、一言一言、余計な言葉を入れずに表現することもあります。
また、認知力が低下した人は短期記憶にも問題があり、すぐに忘れてしまうといった問題もあるため、はっきりとした表現で一言で伝えるほうが患者によっては伝わりやすいとこともあるのです。

しかし、患者の症状によって関わり方を工夫していても、周りの人が聞いたら、方言を使用しているとタメ口で話していると感じたり、端的に話すと冷たく話していると感じられてしまうこともあるようです。ただこれも医療接遇の一つであると考えます。

相手に合わせて声掛けの仕方を変えるのは当然です。重要なのは、相手が理解できるかどうかなので、伝え方に関する医療接遇への理解も求められます。
ただ忘れてはいけないのは、そこに思いやりの気持ちが入っているかどうかということです。方言で伝えても端的に伝えても、思いやりが入っていればそれが伝わるはずです。そこに医療接遇のポイントがあると言えるでしょう。